《書評》生産性 〜マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの〜 著:伊賀泰代

   

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渡辺龍太

渡辺龍太

放送作家
トランプ・ウォッチャーな放送作家。10年前にトランプの講演を生で聴いてからトランプに注目。普段は情報番組の企画・構成や、ナレーション作りが得意。最近、著書がAmazonのベストセラーランキング1位になって、少し調子に乗っている。詳しいプロフはこちら!

テレビ業界で働いていると、とにかく無駄に見える仕事に振り回される事が多いです。

 

長い待ち時間や、オンエアー直前での企画変更、必要なのか分からない人が会議に出席しているなど、文句を言い出したらキリがありません(笑)

 

なので、私は、かなり前から、テレビ業界の生産性の低さに興味を持ってました。

 

そこで、最近、書店で平積みになっている、元マッキンゼーの伊賀泰代さんという方がホワイトカラーの生産性について書いた、「生産性」という本を読んでみました。

 

 

読んでみて、普段から私が疑問に思っていた事に対する答えがあるような本であった事と、ちょっと、著者の伊賀泰代さんに対して思った事があったので、ブログで紹介する事にしました。




 

生産性 マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの 著:伊賀泰代 ①採用の生産性とは!?

まず、この本の最初の部分で丁寧に解説されているのが、企業の採用における生産性についてです。

 

日本人は、工場などの作業を1秒でも早く終わらせるということに関しては、世界で一番敏感かもしれません。

 

でも、企業の採用の生産性をあげようといっても、多くの日本人は、それは「つまり、どういうこと?」と、見当もつかない事なんじゃないかなと思いました。

 

そして、この本では、企業の採用で、生産性が一番高くなるのが、どんな時かというと・・・!?

 

5人採用するのだったら、5人の最高の人材が応募してきて、それで全員採用されるのが一番生産性が高いと紹介していました。

 

確かに、言われてみたら、その通りだと思います!

 

多くの日本人は、何となく「面接の時間を短くする」「一回に募集広告で、なるべく多くの人に応募してもらう」という事しか考えないような気がしますよね。

 

でも、そもそも優秀な採用するしかない人だけが、応募してきてくれたら、そんなに楽な事はないわけです。

 

そして、伊賀さんは、その後、淡々とマッキンゼーで採用を担当していた時に、マッキンゼーが使っていた欲しい人材だけが応募してくる仕組みなどを書いていました。

 

その仕組みは、募集要項の中に、記念受験の人には面倒すぎてやる気がしないようなテストなどを入れる事によって、本当に応募する気がある人しか送ってこない状態を作るとかです。

 

そうやって、全体の応募してくる人数が減り、本当にやる気のある人だけが集まれば、説明会などに使う会場費や社員のマンパワーが減らせます。

 

さらに、一番手間がかかる1人1人の面接全体の時間を減らす事ができたり、あるいは1人に割く時間を増やしたりする事が可能になります。

 

それを読んでいて改めて思ったのですが、テレビ業界なんて、やってる事が真逆です(笑)

 

テレビに興味がなさそうな人でも、何とか騙くらかすような勢いで無理やりADにさせて、それで長続きする人がいればラッキーみたいな感じです。

 

テレビ業界が生産性が低いとは気づいていましたが、会議が長いとかだけでなく、そういう採用からして生産性が低いとは、この本を読むまでは気づきませんでした。

 

 

生産性 マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの 著:伊賀泰代 ②資料作りの生産性とは!?

次に印象的だったのが、会議や資料作りに関する生産性についてです。

 

ハッキリ言って、テレビ業界は会議は長いし、企画作り何時間かけても、「良いものが作れれば、それで良い」という以上の発想がないように思えます。

 

一方、マッキンゼーではどうかというと・・・!?

 

顧客への資料を作るためには、まずブランク資料というのを作るそうです。

 

ブランク資料とは、細かい数字など、そういうエネルギーを使って調べなければわからない部分を一旦ブランク、つまり空欄にしてある資料です。

 

それを最初に作り、顧客が本当に必要な情報かどうかを擦り合わせてから、マッキンゼーの社員は本格的に資料作りに取り掛かるそうです。

 

そして、資料作りが始まった時も、ストップウォッチを片手に「このリサーチには○○分かかった」とか、細かく何に、どれぐらいの時間がかかったのか日々、把握していくそうです。

 

そうする事で、後から、無駄だった動きや作業が無いかを検証して、なるべく早く資料が作れるような方法を追い求めていくそうです。

 

一方、テレビ業界はというと、部下の作った細かい細部までの情報が不足しがちな資料を目にしただけで、企画の良し悪しなんかは関係なく、「お前はやる気があるのか?」と怒鳴り散らしたりする人が大勢います。

 

あるいは、割と短時間で企画が早く思いつくタイプの人がいたとしても、偉い人の虫の居所次第では、「そんな深く考えて無いような資料を俺に見せるな!」とか、文句を言われたりします。

 

だから、とりあえず、意味があろうが、なかろうが、資料作りに時間をかけたふりをしていたりするのも、一部のテレビマンにとっては重要な仕事だったりするんです。

 

でも、それって気を使って、自分の生産性をあえて下げてるだけですよね。

 

いずれにせよ、なんでも後輩を怒鳴りつけるようなオッサンに納得してもらうのは大変そうですが、この本に書かれている事を忠実に実行するだけで、テレビ業界の生産性も、今よりも引き上げられるような気がしました。

 

なので、どんな業界に働いている人でも、普段、自分が何の疑問もなく「昔から、周りの人がずっとやって来た事」の中に、生産性の低い事があって、それが改善できるんだと、この本を読めば気づけると思います。

 

2時間程度で、読む事が出来る簡単な本なので、多くの人に読む事をお勧めしたいです。




 

生産性 マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの
著者の伊賀泰代さんに対して感じた、ちょっとした失望

こうやって、この本は良い本なので、みんな読むべきだと進めておきながら、ここからは、著者の伊賀泰代さんに対する失望した点を書いていきます。

 

というのも、私は、この本を読んで、最後まで伊賀泰代さんという著者の方の独自の視点や思考に、一度も触れ無かった気がしたんです。

 

どういう事かというと、この本で伊賀泰代さんという著者がしているのは、マッキンゼーで働いていた時に知った事を、文章化して世間に漏らしているだけなんです。

 

厳しい言い方をすれば、マッキンゼーの創業者でもないし、新たな部門を立ち上げたわけでもない伊賀泰代さんが、どういう理由で古巣のノウハウを世間に漏らして金儲けしてるの?的な後味が、私には残ったんです。

 

伊賀泰代さんは、マッキンゼーに入る前に日本企業で働いていたそうです。

 

だから、日本企業の生産性の低さと、マッキンゼーの生産性の高さを目の当たりにして、こういう本を書いたみたいな事が動機だというような事が書いてありました。

 

それだったら、日本文化について伊賀泰代さんなりに深く考えるなりして、なぜ、日本人が生産性の低い状態を好むのかとか、そういう伊賀さんオリジナルの考察ぐらいは欲しかったなと思ってしまいました。

 

もし、その部分があれば、今の日本人に本当に必要な本と言えるので、100点満点をあげたいです。

 

ですが、今の状態では、「役に立つ」と資料として他人には勧めたいけど、「本」としては合格点に達していないのではないかというのが私の感想です。

 

とはいえ、自分の独自視点なんか入れずに、マッキンゼーで上司から習った事を、そっくりそのまま文章にするだけで印税が入れば・・・!?

 

それが一番、伊賀さんにとっては生産性が高いわけで、そんな裏メッセージを伊賀さんが込めたのかなとも思いました(笑)

 




 

まとめ

元マッキンゼーの伊賀泰代さんという方の書いた、「生産性 マッキンゼーが組織と人材に求め続ける者」という本を読んだ。

 

この本はホワイトカラーの生産性の上げ方について書いてあり、生産性がかなり低いテレビ業界で働いている私に取っても、大いに参考に出来る事が書いてある本だった。

 

しかし、この本を名著という事は出来ない。

 

なぜなら、著者の伊賀泰代さんは、この本の中で独自の視点を何一つ述べていない。

 

この本は、伊賀さんが、マッキンゼーという自分が昔勤めていた会社で習ったノウハウを、ただ文章にして世間に発表しているだけ。

 

なので、役に立つ資料ではある事は認めるが、本として優れているかと言われれば、合格点はあげられないと思った。

 

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