豊洲問題とかで色々突かれ、すっかり晩節を汚す感じになってきた石原慎太郎さんについて思ったことがあります。
私は石原さんのエッセイとかを、比較的、たくさん読んできました。
あるいは、ニュースの仕事をしていた関係で、都知事の記者会見を全部みたりしていました。
そういう発言を聞いていると、石原慎太郎さんの、ちょっと、周囲に親切すぎる性格が、いつも災いを引き起こしていると思うのです。
あまり、石原慎太郎という人物に興味がない人や、嫌いな人にとっては、意外な気がするかもしれませんが、ちょっと、話を聞いてみてください。
石原慎太郎の親切心で、滅んでいった身内・側近
石原慎太郎さん本人は、大学時代に『太陽の季節』という作品で芥川賞を取る事で、若くして有名人になります。
その結果、お金はもちろんの事、角界にコネクションなどが出来ます。
そして、石原さんという人は、とても親切な人なので、自分の力で周りを引き上げようと頑張っているという印象を受けます。
実際、石原さんの周りには、数多く、石原さんがキッカケで大出世を果たした人がいます。
そして、その多くは石原慎太郎に才能を発掘されただけあり、大成功を収める人が多いです。
しかし、その結末には、ちょっと偶然とは思えないほど、悲劇が多いように思うのです。
石原裕次郎に早死にを避ける方法があったら
石原裕次郎さんは、戦後最大のスターと言われ、今でも出演映画の累計売上はトップと聞いた事があります。
そんな裕次郎さんのデビューのキッカケを作ったのも、兄である石原慎太郎さんです。
デビュー前の裕次郎さんは父親が亡くなったショックから、家の財産を換金しては銀座などで飲んだり、プラプラ遊んでいるような青年だったそうです。
それを見かねた慎太郎さんが、自分が芥川賞を取ったデビュー小説「太陽の季節」の映画版の主人公に、自分の弟を主役にキャスティングするようにとプロデューサーに掛け合います。
そして、慎太郎の弟というブランドと、裕次郎さんの持ち前のルックスもあって、裕次郎さんの映画は大ヒットとなるわけです。
その後、裕次郎さんはスター街道を爆進するものの、肝臓がんで52歳でこの世をさります。
死因は病気ですから何とも言えないでしょうが、裕次郎さんは、とにかく酒好きで、日常的に浴びるように酒を飲んでいたそうです。
それは、仕事場やプライベートも見境なくて、映画の撮影現場に酒を持ち込ませるという事もあったそうです。
もし石原裕次郎が、兄の力でスターにならなかったら
テレビのMCやドラマ・映画の力ってすごくて、その人が出演しないとなったら、番組も映画も、すべての企画が壊れてしまいます。
だから、先輩後輩関係なく、出演者からスタッフ、プロデューサー、スポンサーまで、全ての人が大スターに気を使うわけです。
つまり、もう大スターになってしまった人間に対しては、人気が無くなるまでは、誰も口を挟めない状態になってしまうのです。
でも、多くのスターたちは、それなりの下積み経験や先輩などから、やって良いこと、悪いことを学んでからスターになる人が多いので・・・!?
最初から、いきなり国民的大スターになってしまった裕次郎さんよりは、もうちょっと、常識的だったりするわけです。
さて、もし裕次郎さんが映画に興味を持っていたとして、兄の慎太郎さんのコネで映画界に入ったとしても・・・!?
いきなり主役で周りから気を使われる存在ではなく、少なくとも準主役的なポジションで、主役の先輩から社会常識を教わる事が出来る環境にいたらどうでしょうか。
撮影現場に酒を持ち込むようなダメな若者のノリをもったまま、病気になって死ぬという人生ではなかったかもしれないとも感じます。
やはり、人生のショートカットは羨ましいですが、その副作用も凄まじいような気がしますよね。
猪瀬直樹の徳洲会事件と石原慎太郎
石原都政時代、側近の副知事として手腕を発揮したのが猪瀬直樹元都知事です。
日本の道路問題の著作を気に入った石原さんの一本釣りで、猪瀬直樹さんは作家を辞めて副都知事に就任します。
そして、その作家的な文章力の鋭さから、都政の霞が関文学にも一切ぶれる事なく、色々な事を石原さんと推し進めていきました。
その仕事ぶりに都民も大きく期待して、猪瀬直樹さんが都知事に立候補すると、史上最高の400万票以上も獲得して都知事に就任したわけです。
では、その猪瀬直樹さんが、なぜ元都知事という肩書きになってしまったのかと言えば・・・!?
徳洲会という医療法人から、5000万円を受け取ったと逮捕されたからです。
猪瀬直樹が政治家1年生で都知事にならなかったら
猪瀬直樹さんは、長年、副知事として法律を作って官僚を動かすというような、そういう仕事には精通していました。
しかし、政治家の仕事というのは、もちろん実際の行政の長としての行いだけでなく、選挙というのも大変な仕事です。
そういう意味では、猪瀬さんは選挙に関しては、都知事選挙が初めてだったわけです。
選挙にお金が必要な事などは有名で素人でも知っている事ですが、実際にやってみないと分からない事もたくさんあると思います。
そして、ここからは推測ですが、日本で一番個人が得票を集めるような大選挙が初めての選挙となった猪瀬さんは、次第にお金に困るような状況になっていき・・・!?
5000万円を猪瀬さんに渡した徳洲会を、石原さんに紹介してもらったんではないかと思います。
徳洲会というのは、とても石原さんと関係の深い団体で、理事長の徳田虎雄氏は石原さんと、とても仲の良い人物のようです。
だから、よく分かりませんが、そんな石原さんに関係の深い団体からお金を渡されたら、猪瀬さんだって無下には出来ないというか、そんな感覚もどこかにあったんじゃないでしょうか。
もし、猪瀬さんが議員生活を何年もやっている人であれば、5000万円を持ってきた徳洲会に対して『これはマズイです!』とか言えたかもしれません。
ですが、今回の選挙が初めての猪瀬さんですから、石原さんが懇意にしている人からの支援であれば・・・!?
世間から嘘だとバッシングされた、『親切な人だな』という感想を持ったとしても不思議ではないと思います。
そういう経緯を見ると、もし猪瀬さんが小さい知事とか、参議院議員などを経験してから都政に臨めば、ああ言う失敗がなかったんではないかと思うわけです。
それを考えると、再び、下積みなしのショートカットの危険性っていうのを、ここでも感じますよね。
石原伸晃のために、小池百合子を大年増の厚化粧とイジった石原慎太郎
石原慎太郎さんは、作家であるという事もあるでしょうが、政治家を辞めてからもメディアに出続けています。
その辺は、石原都政時代に国政を担っていた、石原さんの遠い親戚の小泉純一郎さんと大きく違う点ですよね。
さて、慎太郎さんの息子の石原伸晃さんは、自民党東京都連の会長を務めています。
最近、舛添要一東京都知事の辞任で急に選挙になった時、その東京都連の意向を無視して、現在、都知事を務める小池百合子さんが都知事に立候補しました。
立場上、石原伸晃さんは絶対に小池百合子さんの擁護を出来ないのは当然ですよね。
だから、石原伸晃さんは強硬姿勢を貫き、憲法違反と言われたりしましたが、こんな文書を自民党員に通達しました。
各級議員(親族等含む)が非推薦の候補を応援した場合は(略)除名等の処分の対象となります。
実は、小池百合子さんと石原慎太郎さんって、そんなに関係が悪くないというか、わりと慎太郎さんは小池さんを評価している発言を過去にしています。
さらに、慎太郎さんは、小池百合子さんに都知事をやるように勧めた事もあるという情報もあります。
だから、この『親族』というのは、石原伸晃さんから父の慎太郎さんに向けたメッセージだったんじゃないかって思うんです。
そして、父に対して怯えていた伸晃さんは、父を説得して、小池氏を非難するスピーチをお願いしたのだと思います。
ですが、石原慎太郎という政治家としては、政治家・小池百合子をそんなに非難するような点を思いつかなかったのでしょう。
その結果・・・!?
大年増の厚化粧がいるな。これは困ったもんでね、嘘つきだと思う。今度の選挙に私が彼女に『選挙に出ろ』といったという。まったく覚えありません。
ナンダカンダで親切すぎる慎太郎さんは、政治家として小池百合子さんを否定せず、息子の立場も守るために、『容姿について』『言った言わない』という低レベルな批判をしてすり抜けようとします。
ですが、それが一般国民にとっては、女性蔑視という大きな拒否反応が出てしまいました。
※豊洲問題も真相は分かりませんが、この種の手法で対応したって感じがします。
それにより、石原伸晃さんの評価は、小さな事で女性蔑視の親父に頼る、ダメ息子といういう印象がより強くなってしまったように見えます。
もし、小泉進次郎を全く支援せず、自らも政界から身を引いた小泉純一郎の様に、石原慎太郎氏も息子が政治家になった時点で政界から身を引いて、息子に自力で政治の世界で奮闘させていたら・・・!?
石原伸晃さんの大臣就任などの出世は遅れたかもしれませんが、本人の能力や世間の評価は、今よりも高いものになっていたのではと思ってしまいます。
場合によっては、小泉進次郎的な人気があったりする可能性もあったかもしれません。
この例を見ても、人生のショートカットの危険性を感じるわけです。
石原慎太郎と小泉純一郎の違い
では、どうして石原慎太郎氏は親切すぎる傾向にあるのでしょうか。
それは、石原慎太郎さんが、自分で1代で有名人になったからという事と、芥川賞という権威で、一夜にして人生が変わったからではないかと思うわけです。
そして、石原さんは芥川賞を取った時、何年も応募していたわけでもなく、サクッと書いた小説が一発で賞を取ってしまったと言っていました。
なので、石原慎太郎さん的に人生を振り返ると、『芥川賞作家』という肩書きが先についた事で、自分の能力や人生が変わったと思っているのではないでしょうか。
だから、周りに、なるべく良いポジションにショートカットすべきだと、親切にしているのだと思います。
一方で、石原慎太郎さんとは真逆で、周りに親切な感じがしない小泉純一郎さんはというと3代目の政治家です。
そして、小泉さんは自分の人生を通じて、親の力で身分不相応のポジションに就いてしまう怖さを強く感じているのではないかという印象を受けます。
そこからは、『実力不相応な事は百害あって一利なし』というような、人生哲学が垣間見れます。
その二つを比較すると、石原さんは芥川賞を取った自分自身に対して、『偶然』というような印象を持っているのではないでしょうか。
だから、他人にも能力が高いかどうかより、とにかく重要なポジションに就く事を、ためらう事なく勧めます。
しかし、石原慎太郎さんは自分自身が類稀な能力を持っていたから、そのポジションに負けない仕事が出来たという視点が抜けているように思います。
また、そうやって心底は自分の能力に自信を持っているわけではないので、石原さんは自慢話が大好きという一面を持ち合わせているんではないかとも私は感じています。
さて、今回紹介した以外にも、石原さんのショートカットカットの勧めで、最終的に困った感じになってしまった人が大勢います。
気になった人は、ググってみてください。
いずれにせよ、石原慎太郎という人の生き方や、その周りの人を見てみると、『出世のありかた』『コネとは何か』という事を考えさせられますね。
まとめ
最近、豊洲問題などで、悪いイメージで話題になっている石原慎太郎さんについて、ちょっと親切すぎるのではなないかと感じました。
そいうのも、石原さんの周りの人は、石原さんの親切で大出世してく人が多い半面・・・!?
それによって、その人が本来持っていた実力を発揮できずに、悲劇的な結末を迎える人が多いような気がしたからです。
そして、それを今回は、石原裕次郎、猪瀬直樹、石原伸晃という石原慎太郎に近い人物の人生をもとに分析してみました。
やはり、人生のショートカットは気分が良いですが、実力が伴わないと、最悪な結果を生むようです。