今、世界中でモラルを重要視するタイプの政治家より、とことん、リアリストな現実的な実行力のある人物が人気になっています。
特にフィリピンでは、「フィリピンのトランプ氏」と言われている暴言王・ロドリゴ・ドゥテルテ氏が大統領に就任し、その過激な政策が世界に波紋を広げています。
日本でもドゥテルテ大統領と言えば、フィリピンから麻薬を一掃するために、麻薬戦争と称して実際に麻薬中毒者を殺しているので話題になっていますよね。
とはいえ、多くの日本人とっては、フィリピンの大統領が自国の麻薬中毒者を殺そうが、あんまり自分とは関係ないという冷たい感想が本音かもしれません。
しかし、そんな事はないんです!
麻薬とは無縁の日本人でも、海外旅行や出張の時にちょっとでも気を緩めてしまったら・・・!?
麻薬戦争の犠牲者になってしまうかもしれないのです。
というわけで、今回は、ドゥテルテの麻薬戦争に巻き込まれた、気の毒な外国人についての話題です。
日本人でも巻き込まれる!?
ドゥテルテ・フィリピン大統領の麻薬戦争
本題に入る前に、まず、現在のフィリピンの麻薬戦争というか、ドゥテルテという人物について、簡単におさらいしておきましょう。
麻薬戦争で平気で人を殺しているドゥテルテに対して、多くの先進国の報道は否定的です。
ですが、フィリピンでは支持率がメチャクチャ高い、大人気の大統領なんです。
ドゥテルテ大統領の昨年(2016年)12月時点の支持率が83%だったとの調査結果を公表した。不支持率は4%。地元のダバオがある南部ミンダナオ島では支持率が92%に上った。
産経ニュース
そして、フィリピンで人気が高く、先進国が危険視する理由は、「ドゥテルテの正義の殺人」の評価が割れているからです。
ドゥテルテ大統領の正義の殺人とは!?
ドゥテルテ氏が、2016年の6月に大統領に就任する時、こんな発言をしました。
就任後半年以内に麻薬密売組織を撲滅する。
そのためなら何万人でも犯罪者を殺す。
この発言は口だけで実行力の無い日本の政治家が発した言葉とは違い、ドゥテルテ大統領は有言実行な人なのです。
だから、ドゥテルテ大統領は就任すると、早速、麻薬戦争を始めて、就任3ヶ月で3400人の麻薬中毒者が殺されたと言います。
過激ですよね・・・(汗)
そのため、麻薬に手を出しているワルも、「ドゥテルテは本気だ!」と気づき、警察に殺されたく無いと、すでに60万人以上が自首しています。
もちろん、急に60万人が自首したって、刑務所に60万人分もの余裕があるわけじゃありません。
しかも、フィリピンという国は、1人あたりのGDPが30万円ほどの貧しい国なので、政府にポンと出せるお金があるわけでもありません。
だから、現状、刑務所は、こんなにギューギュー詰めの恐ろしい事になっているそうです。
そのため、ドゥテルテ大統領は、この麻薬戦争の現状に対して、こんな発言をしています。
ドゥテルテ大統領は最近、政府には今のところ麻薬常用者を更生させる資金はないとして、「当面は」殺すしかないと、平然と言い放った。
そのため、犯罪者の人権は軽視されて、簡単に殺されてしまうという状態が続いています。
さらに、あまりに犯罪者の数が多く、冤罪も多くて問題になっています。
ドゥテルテ大統領の麻薬戦争は間違いか!?
欧米や日本のような国から見ると、確かに、ドゥテルテ大統領のやり方は、ちょっと、引いてしまうという人も多いですよね。
特に、欧米は日本人以上に、麻薬は自己責任というよりも、「病気」であるという考え方が強いです。
だから、麻薬中毒患者は、罰するのではなく治療すべきだという考え方の人もいて、日本人以上に、ドゥテルテ大統領を軽蔑している人がいます。
ドゥテルテ大統領の麻薬戦争のやり方も一理ある
私も、基本的には、麻薬中毒者は病気だと思っているので、罰するよりも治療が必要なんじゃ無いかなと思っています。
でも、そういう事が出来るのって、やっぱり、基本的に社会秩序が整った国のみなんじゃないかと思うんです。
高須クリニックの高須院長が、ドゥテルテ大統領を絶賛していましたが、私も高須先生と同意見です。
補足すると、例えば、暴力で荒れてて、どうしようもない定時制高校の先生に対して、一流の進学校と同じように「怒鳴ったり体罰禁止」というルールを課して、学校はどうなるでしょうね?
もちろん、一流の教育スキルがあって、怒鳴ったり、体罰を使わなくても生徒をおとなしく出来る先生を、その定時制高校が雇えれば何も問題はないと思います。
でも、現実問題として、お金は急に降ってわくものではありません。
そうなると、現状の先生が怒鳴ったり殴ったりする事で学校の秩序が保てるのなら、そうするのが取れる選択肢の中ではベストなんじゃないでしょうか。
実際、フィリピンは麻薬によって、マフィアが力を持っているし、その資金で公務員が買収され、労働者は中毒になっているという悪循環に陥っています。
その悪循環を、何らかの方法で絶たないと、フィリピンは先進国のような国になれないわけです。
だから、お金を持っている日本を含めた先進国が、お金を払うわけでも無いのに、フィリピンの殺人的なやり方を非難しても、フィリピン人から見れば・・・!?
「あいつらは、絶対にフィリピンが豊かにならないように工作しているんだな・・・。」
という感じすらしているかもしれないと思うのです。
きっと、現地では、多少の冤罪などの犠牲が出ても、フィリピンにとっては避けて通れないプロセスだと考える人が多く、ドゥテルテ大統領の支持率は高いのでしょう。
ドゥテルテの麻薬戦争に日本人も巻き込まれる!
そうやって、理屈では、ドゥテルテの麻薬戦争も必要悪であるという事は理解していますが、実際に巻き込まれるとなると話は別です。
というのも、この麻薬戦争はフィリピンの麻薬中毒の人だけでなく、一部の外国人をも巻き込んでいる様で、日本人だってドゥテルテに殺される可能性が無いわけでは無いのです。
実は、今回の記事を書いた理由は、私の知り合いの知り合いのが、ドゥテルテ大統領の麻薬戦争に巻き込まれていて、一生投獄されるかもしれない瀬戸際にいるからなんです。
キルドゥシュキンという名前のロシア人なのですが、ブラジルからドバイ経由でマニラ入りしようとしました。
すると、荷物の中にコカインが入っていたという事で、空港で止められて逮捕されてしまって、ニュースにもなりました。
キルドゥシュキンの知り合いの日本人の私の友人によると、ブラジルにいた時に知り合った人から、荷物を預かったそうで、そこにコカインが入っていたそうです。
これは典型的なダメなパターンですが、キルドゥシュキンの友人いわく、とにかくキルドゥシュキンは良い人らしく、頼まれた事を何でも引き受けるようなタイプなのだそうです。
もちろん、真相は私には分かりませんが、本人がそう主張するなら、少なくとも、それが真実である可能性を当局は調査すべきだと思います。
しかし、ドゥテルテの麻薬戦争の方針を理解すれば分かると思いますが、とにかく「疑わしきは罰する」という、通常とは逆の発想でフィリピンは回っています。
だから、キルドゥシュキンは、正当な捜査などがされないまま、一生、刑務所にいる可能性も非常に高くなってしまっているそうです。
本人の不注意は大きいですが、やはり、気の毒ですよね。
現在、キルドゥシュキンのロシアの友人が立ち上がり、プーチン大統領に当てて、キルドゥシュキンの無罪をフィリピン政府に働きかけるようにという署名が集められているようです。
こうやって、旅先で知り合った人に荷物運びを頼まれて、それでフィリピンで捕まるという確率は、日本人も同じですよね。
だから、これは他人事ではなくて、フィリピンに近づく必要性がある人なら、誰でも注意していなければならない事です。
というわけで、ドゥテルテ大統領がやろうとしている事の重要性は理解できる一方で、自分の知り合いの知り合いに起きた不幸を考えると、とても複雑な気持ちになりました。
みなさまは、どう思われたでしょうか?
少なくとも、キルドゥシュキンが一度は正当な捜査がされるような状態になる事を願っています。
また、いずれにせよ、フィリピンにはお金が無いのだから、キルドゥシュキンの様な人に手を差し伸べられるのは、先進国だけなんだろうとも思いました。
しかし、具体的な何かを思いつたわけでは無いので、非常に後味の悪い状態でこのブログを書きました。
まとめ
ドゥテルテ大統領の麻薬戦争に対して、賛否両論、意見が割れている。
私は、基本的にはドゥテルテ大統領を支持したいと考えるようなタイプ。
しかし、実際に友人の友人が、麻薬戦争に巻き込まれたという話を聞いて、気持ちがグラついた。
確かに、発展途上国が先進国になるには、多少の荒療治が必要なのは確かだと思う。
しかし、その荒療治に巻き込まれた人を見頃すのもどうかと思ってしまう。
やっぱり、フィリピンにはお金が無いのだから、そこは先進国の人が、手を差し伸べるしかないのではないかと、具体的な事は思いつか無いものの、そう感じた。