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この本の触りを読みたい方は、ぜひ、私のダイヤモンド・オンラインでの連載をお読み下さい。こんにちは。文章と会話の専門家、放送作家の渡辺龍太(@wr_ryota)です。
今日は、周りから『優しい人・優秀な人』として認識されている人に、強烈な爆弾を落としたいと思います。
私の働くテレビ業界には、ADという、それはそれはキツイ仕事が存在します。
拘束時間は長く、給料も安いので、もちろん、長続きする人が、非常に少ないのです。
実は、意外かもしれませんが、『メチャクチャ責任感があって、人柄も優しくて優秀だ!』というADさんが現れると・・・!?
そういう優秀な優しい人に限って、しばらくすると、急に連絡が取れなくなるという形で辞めてしまったりするのです。
その構図はテレビ業界に限ったことではないと思うので、今日は、『優しい人が損をする!』という事の仕組みについて書いてみます。
優しい人は損をする仕組み①
『優しい』という自分のブランドを捨てられない
優しくて優秀な人というのは、周りの人から好かれます。
そりゃ、誰だって、仕事が正確で、人当たりが良い人と一緒に仕事がしたいと考えるのは当たり前ですよね。
だから、優しくて、優秀なADがいると、ディレクター陣は、ついつい、その一番優秀で仕事の出来る人に仕事をお願いしがちになってしまうのです。
もちろん、頼まれたADは『手がいっぱいで無理です!』と、場合によっては、答える事も可能なのかもしれませんが・・・!?
優しくて優秀な人の多くは、あきらかに損な感じの、自分の限界を明らかに超えるレベルぐらいまで、仕事を引受消えてしまったりしがちです。
その結果、ADが3人もいる番組で、2人の優秀でないADさんが・・・!?
『この番組は、そんなに忙しくないので、お互い、良かったですね。前の番組は、本当に辛くて、眠れなくて・・・。』
という雑談をしている時に、人から仕事を頼まれまくっている優秀なADさんは、一極集中してしまっているAD業務と、不眠不休で戦っていたりするわけです。
そして、ふと、その優秀なADさんが、そんな自分の置かれた状況を俯瞰的に見た時、『もう、こんな損な役まわりの仕事、辞めてやる!』と思い詰めてしまう事が多いのです。
もちろん、こういう優秀な人が止めてしまうという問題は、テレビの制作現場のマネジメントに責任があると思います。
しかし、テレビ業界のマネジメントに問題があると言っても、そこで働く1人のADに何が出来るかというと、現実問題としては何も出来ないと思います。
だから、あまりに人から仕事を頼まれてパンクしてしまったADさんは、『優秀な人・仕事の出来る人である』という自分のブランドの看板を、どこかで下ろす必要があったのだと思います。
こういうのって、テレビ業界だけの事ではありませんよね。
とっても親切で、友達の相談に乗ってあげていて、その結果、自分自身が疲弊してしまって、疲れ切ってしまって損する人。
お金にルーズな友人に、お金を貸しまくって、結果的に損ばかりしている人。
介護に疲れて、親子で心中してしまう人など、みんな『自分は優しい』という自分のブランドに縛られすぎて自爆して損をしてしまっているのです。
やはり、『優しい人である』という事は大切ですが、優しければ優しいほどよいのではなく、『節度』が無いと損してしまうと思うのです。
優しい人は損をする仕組み②
結果的に人に迷惑をかける
次に、もう少し言いにくい事に踏み込んでいきます(笑)
『優しい人』という自分のブランドの看板を、適度に下ろせない人って、最終的に人に迷惑をかけると思うんです。
例えば、さっき例にあげた、急に止めてしまう優しくて優秀なADさんだって、急に止めたら周りは迷惑します。
それに、例えば他人にお金を貸しすぎて自分が困っているという人とかも、自分の家族とかに大きな迷惑をかけていたりする可能性もあるでしょう。
ましてや、介護に疲れて、一家心中なんて、気の毒ですが、どう考えても他人に迷惑をかけていますよね。。。
そういう、『自分の社会的信用を失う』という損は、長期的に見てダメージは計り知れないと思います。
だから、『優しい人であるべき』とはお思いますが、ぞれが無理でも人の言うとおりにするというような『絶対的ルール』になってはダメなんです。
もし、自分は『優しい人は損をする』というタイプだなと思う人がいたら、まずは、『すみません!いま手一杯で出来ないです。申し訳ないです。』と言う練習をしてみると良いと思います。
そして、無理なことは、『無理!』とハッキリと断りましょう。
さもないと、自分も周りも大損してしまいます。
※今回の記事は、冷たい人になれと奨励しているわけではありません!
まとめ
優しい人は、人の頼みを聞きすぎて損する事が多い。
その原因は、『自分は優しい人である』と自分自身が強く思いすぎているから。
しかし、その自分は優しいという看板を下ろせないことで、結果的に周りに迷惑をかけている人も多い。
『優しい』という事も大切であるが、節度が必要である。