最近、Twitterでヒラリー・クリントン氏と、ドナルド・トランプ氏のtweetを意訳して、私のアカウントから発信しています。
2人はこんな感じで、トランプ氏の税金逃れ問題や、クリントン氏の私用メール問題で激しく罵り合っています。
【クリントンつぶやき意訳】我が陣営の新しいツールをお試しあれ!もし、あなたがビリオネアのドナルド・トランプと同じように連邦所得税を課税されたら、いくらかというのが分かります。(ホームページに自分の収入を打ち込むと、課税額$0.00ドルと表記されるツールのリンクが貼ってある) https://t.co/HFZwz8Oh9E
— 渡辺龍太 (@wr_ryota) 2016年10月2日
【トランプつぶやき意訳】私は今まで何万もの雇用を創出してきた。そして、これからアメリカの繁栄を取り戻す。一方、ヒラリーはFBIと司法省の仕事だけ増やしてきた。(E-mailスキャンダルなどで) https://t.co/wKVbaf00kD
— 渡辺龍太 (@wr_ryota) 2016年10月2日
こうやって並べると、クリントン氏も結構ディスるのが好きな人で、お互いに罵り合っているって言うのが、本当によくわかりますよね。
あと同時に、ヒラリー・クリントン氏が攻めている、『トランプ氏の税金逃れ』に何の問題があるのかが疑問になりました。
ドナルド・トランプ氏の税金逃れは、合法 or 違法!?
『税金逃れ』と聞けば、確かに、聞こえは悪く、有権者の投票行動にマイナスな影響を与えますよね。
でも、トランプ氏が行ったとされるのは、今、アップルなどが海外のペーパーカンパニーを利用して行っている、かなりグレーな脱税だと指摘されるような節税では無いようなんです。
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トランプ氏の合法的税逃れの仕組み
では、トランプ氏が行ったとされる節税というのは、日本で言うところの、損失の繰越し、繰戻しという感じです。
自営業の人でなければ分かりにくいと思うので、MFマネークラウドの分かりやすい説明を引用します。
簡単にいうと、損失分を利益で相殺することが可能となっています。
たとえば、2014年が年間を通じて40万円の赤字になった場合で、翌年に100万円の黒字が出た場合、翌年の100万円-前年の40万円を差し引いた60万円が利益としてみなされます。
そして、トランプ氏は20年前に、およそ1000億円の損失を計上しました。
トランプ氏は、この巨額な損失を繰越しする形で、20年近くも毎年50億円程の節税をしていたのではないかと言うのです。
日本では、赤字の繰越しができる期間が、個人だと3年、法人だと最大9年です。
一方、トランプ氏が巨額の赤字を作った当時の法律では、20年近く赤字を繰り越す事も合法だったようです。
なので、私のような自営業者から見ると、『アメリカの法律って凄いな!』とは思いますが、トランプ氏が損失の繰越しをすべきでなかっとは全く思いません。
むしろ、もし損失の繰越しを行わずに、毎年、毎年、余分に税金を払っている経営者がいたら・・・!?
まともな企業経営者や自営業者は、そんな知識もないのかと『経営者失格』と感じるはずです。
トランプ氏の税金逃れを『天才』と言う、ジュリアーニ元市長
実際、この件に関して、擁護の声も出ています。
9.11のニューヨークのテロ事件の時の、ニューヨーク市市長のルドルフ・ジュリアーニ氏は、トランプ氏を『天才』とCNNのインタビューで答えたそうです。
そして、トランプ氏の行った節税は、アメリカ税法の一部なので、責められるに値する事ではないとも答えたそうです。
日本の自営業者の私としても、トランプ氏の税金逃れの一件は、このジュリアーニ元市長の見解が常識的だと感じます。
むしろ、『節税』しない人がアメリカ大統領になった場合の方が、国家予算の無駄使いをバンバンしそうで恐ろしい気がします。
日本でも似たようなバッシング事件があった
さて、このトランプ氏の税逃れバッシング騒動を見ていて、数年前に、株を大量に売却した起業家が、政治家から叩かれていた事を思い出しました。
実は、2014年から、株式の売却益にかかる税金が、2013年までの倍になったんです。
なので、ソフトバンクの孫正義社長さんや、楽天の三木谷社長が、2013年度中に、数百億、数千億単位で個人の所有する株式を売却しました。
これに対して、特に共産党の国会議員があたかも、『脱税をしている』と言わんばかりの起業家に対する個人攻撃をしていたんです。
確かに、孫さんや三木谷さんは、株を2014年以降に売った場合に比べて、数十億〜数百億の税金を払わないで済みました。
でも、来年から税金が上がると分かっていれば、今売ってしまおうって考えるのって法律の抜け道でもなんでもない『当たり前』の事ですよね。
誰だって、来年から消費税が20%になるって分かっていたら、いずれ買おうと思っている物は今年中に買ってしまいますよね。
それを、税金逃れと言われたら、日本人の全員が『は?』となってしまうと思います。
それなのに、孫さんや三木谷さんの株の売却は、金額が大きいし、どんな税金なのかも一般庶民には分からないだろうからと・・・!?
あたかも脱税をしたかように、個人をバッシングするのって、政治家として最低な気がするんですよね。
だって、そういう税制にすれば経済が良くなるだろうと、政治家が、その税制を決めたわけですからね。
自分の人気取りのためなら、筋が違った事を平気でやる人っていう印象しか、私には持てませんでした。
ヒラリー氏のトランプ氏の税金逃れに対する攻撃はブーメランに見える
そして、冒頭でも紹介しましたが、ヒラリー・クリントン氏も、トランプ氏の税金逃れについて、凄まじくバッシングしています。
もちろん、トランプ氏のやった事は違法ではなさそうなので、『感情に訴える』とか、『想像力をかきたてる』形のバッシングです。
【クリントンつぶやき意訳】3ページのトランプの税金の還付の書類を読んだら、あの人が、みなさんの税金で金持ちになった失格経営者って事が証明されてたわ。想像してみてごらんなさいよ。この他に、あの人が何を隠してるかを。 https://t.co/NgfIuJXhjf
— 渡辺龍太 (@wr_ryota) 2016年10月3日
何も税制について知らない一般庶民に対して、トランプ氏が、いかにも悪い事をやっているというイメージを植えつけたいっていうだけの呟きとしか思えません。
しかし、トランプ氏が、みなさんの税金で金持ちになったと言っても、その税制を決めたのはアメリカ政府です。
そして、トランプ氏が損失を出したのが95年ですから、驚くなかれ、時の政権は、クリントン政権なのです!
なので、クリントン氏は真実しか言わないと討論で言っていましたが、それが本当ならトランプ氏を『税金逃れだ』と攻撃するべきではなくて・・・!?
トランプ氏は税制の援護射撃を受けて、見事に経済的に復活した。
そして、トランプ氏は多数の人を雇用して、それはそれで多くの税金がアメリカに入った。
それを可能にした要因で最も大きかったのは、クリントン政権時の『税制』である!
※この税制がクリントン政権時に存在しただけで、作ったかどうかは知りません。
と、トランプ氏の復活が自分の手柄だという方が、論理的にはしっくり来るような気がします。
でも、クリントン氏はトランプ氏の政策を『金持ち優遇だ』と叩いているので、それは言えないというお約束なのでしょう。
こうやって、一般庶民には複雑な税制が分からないだろうからと、自分の夫の政権の時に存在していた法律を利用した人を叩くヒラリー・クリントンには、私は興ざめです。
まとめ
ドナルド・トランプ氏が1000億円近くの税金逃れをしたのではないかと、ヒラリー・クリントン氏やメディアからバッシングを受けている。
だが、その方法には違法性はなく、日本で言う所の、損失の繰越。
それは、自営業以上のビジネスをしている人なら、誰でもやっていることで、トランプ氏のはスケールが大きすぎただけで違法性はない。
しかも、トランプ氏が損失を計上したのは1995年で、クリントン政権の時の出来事である。
それにも関わらず、ヒラリー・クリントンは税制の設計ではなく、トランプ氏を批判。
税金の話は庶民には分かりにくいだろうからと、テキトーに感情をあおっているという意味では、ヒラリー氏もトランプ氏に対して文句は言えない感じである。
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