敬語使えないタイトル

最近、ビックリするほど敬語を使えない10代・20代の若者が増えていると、ネットニュースなどで見かける事がありますよね。

 

しかし、30代の私は、そういうニュースを見ると、とても表面的な言い方しかしていないと感じるんです。

 

なぜなら、ちょっと社会勉強不足な『敬語を使えない』若者の絶対数は、年々減っていると思うんですよ。

 

その代わりに、『意識的に敬語を使わない』、もしくは『敬語を使わされる事を屈辱的と感じる』若者が、増えてるって思うんです。

敬語を使いたくない若者

 

私は普段、駆け出しの10代後半や20代前半の、放送作家・芸人・俳優に割と接する機会があります。

 

その時に感じるのは、”俳優”の若者は、他に比べて圧倒的に敬語を話さない人が多いんです。

 

なぜ違いが出るのか気になって、『なぜ敬語を使わないのか?/敬語を話すのか?』と、若者に聞いて回ってみたら、面白い事が分かってきました。




 

インプロでは敬語を話す若者

最初、敬語を話さない若い俳優に対して、『敬語を知らないから、敬語を話せないのだろう』と、勝手な先入観を持っていました。

 

しかし、それは全く見当違いだったのです。

 

それが良く分かるのが、普段、敬語を使わない俳優の若者と、即興芝居(インプロ)をやった時です。

 

例えば、即興で何も台本のない状態で、いきなり若者に一般的な『ファミレスの一般的な店員』をやってもらい、年上の人に『客』を演じてもらったとします。

ファミレス

 

そうすると、たいてい、敬語を普段使わないような若者も、『当店は今、夏のマンゴーフェアをやっておりまして・・・』と、敬語をスラスラ話しながら演技を始めるんです(笑)

 

そういう敬語の演技が出来るという事は、敬語自体は、不自由なく話せるという事ですよね。

 

関東人に『関西弁で演技して!』とリクエストしたら、ギコちなく、とっても気持ち悪くなるように・・・、

 

敬語を話す能力が本当に低い人に『敬語で演技して!』とお願いしても、敬語を使った即興芝居もできないはずです。

 

それに、よく考えてみれば、俳優だけに『敬語の能力が低い』若者が集まる理由もありませんよね。

 

 

俳優のヒエラルキーは特殊

では、他の放送作家や、芸人の若者に比べて、なぜ俳優の若者が敬語を話さないケースが多いのでしょうか。

 

その理由を、いろいろと聞いていたら、俳優だけ他とはヒエラルキーの構図がちょっと違う事に気づいたんです。

 

放送作家や芸人の場合、仕事をくれる可能性があるのって、プロデューサー・ディレクター・先輩だったりします。

仕事の図

 

一方、俳優の場合、仕事をくれる人の中に、ほとんど”先輩”が入ってこないんです。

 

なぜなら、ザックリ言うと、放送作家や芸人の仕事って、他人と分担して仕事ができるんです。

 

例えば、自分がメインのライブを作りたいと思っている先輩芸人が、そのライブの中で大人数で大喜利をやりたいと思えば、自分の裁量で後輩をキャスティング出来ますよね。

 

また、放送作家の場合、私が担当している番組のナレーションの、作業の一部を後輩に回すという事も可能だったりします。

 

 でも、俳優は自分の役を、一部だけ後輩に演じてもらうなんていう事は不可能です。 

 

だから、もしプロデューサーに同じ待遇で雇われてるなら、敬語を使わない俳優にとっては、そこに上下関係は無いと思ってるみたいなんです。

 

なので、割と年上の先輩俳優にタメ口を聞くような若い俳優も、仕事を振ってくれる『目上の』プロデューサーなどに対しては、割と普段より敬語率が上がっていたりするんです(笑)




 

警察官が敬語を使えない理由もここにある

さて、仕事を発注してくれる人って、言い換えれば、自分をクビにする権限を持っている人でもありますよね。

 

つまり、『自分が尊敬する人には敬語つかうけど、バイトの年上の人とかには敬語は使いたくない』と言っている若者は・・・!?

 

深層心理の中で、尊敬する人に敬意を示しているだけでなくて、キチンと敬語を使わないと、『敬語の使えない非常識な君とは関わりたくないと、言われる可能性がある』、

 

言い換えれば、尊敬している人との人間関係を、クビにされる可能性がある事を理解しているのでしょう。

 

このクビにする権限のある人だけに敬語を使うという理屈は、あまり敬語を使わない、すべての人に当てはまるような気がします。

 

店員にタメ口を聞く人も、『店員が客の自分をクビに出来ない』という事を知っています。

 

一方、免許センターとかの警官にも、タメ口の人が多いですよね。

警官

 

あの人たちも、『免許更新に来ている一般人が、警官をクビに出来ない』と知っているのです。

 

 

昔の人が敬語を使っていた理由

とはいえ、そういう現象って、もっと昔から起きても良かったのに、なぜ、ゆとり世代(今の10代・20代)ばかりが、敬語を使わなくなったのでしょうか。

 

私は敬語を使わない若者の話を聞いていて、『人は平等だ』という事と、『自分の頭で考える』という教育を、ゆとり世代が、他の世代より強くされてきたからじゃないかと思いました。

 

例えば、ゆとり世代には、自分が目上に敬語を使わないだけでなく、年下に敬語を使って欲しくない人もいるんです。

敬語だと打ち解けられない

 

その辺を、詳しく本人たちに聞いたら、人間的な上下関係なんか無いのに、『年上だから』と、慣習的に敬語を無理やり使っていては、

 

いつまでたっても年上と、フレンドリーな関係になれないと言っていました。

 

要するに、『人間はみな平等』という意識が強い若者にとっては、敬語をつかう相手というのは、『平等に接する事が出来ない相手』という意識なんだと思います。

 

また同時に、『人はみな平等』だけど、もし平等に接する事が出来ない目上の人が存在するならという事を、ゆとり世代が考えると・・・!?

 

ギブアンドテイクの、ギブが側に圧倒的に負担がかかっている人が目上、という事になるみたいです。

 

私たち30代以上の世代は、いろんな事を深く考えずに、『あたりまえ』として従来型の上下関係を割と理解してきました。

 

しかし、『自分の頭で考える』という世代は、平等な世の中に存在する上下関係に対し、自分の頭で構築した答えを出したために・・・!?

自分の頭で考える

 

結果的に、それより上の世代の上下関係のルールから外れるような、敬語を使わない若者がいるのではないでしょうか。

 

いろいろと若者に話を聞いているうちに、こんな説にたどり着きました。




まとめ

最近、敬語を使えない若者が増えていると、ニュースなどでは取り上げられている。

 

しかし、筆者の実感としては、『敬語を使わない、もしくは、使いたくない』若者が増えているという印象。

 

ゆとり世代の放送作家・芸人・俳優では、俳優関係の人が、圧倒的に先輩に敬語を使わない。

 

その理由は、俳優の場合は、先輩が仕事の発注者にならないから。

 

仕事の発注者とは、自分の事をクビにできる人。

 

つまり、今の若者は、そういう自分をクビにできる人にしか生理的に敬語を使いたくないようだ。

 

なぜ、そういう考え方になったかというと、大きな理由は『人はみな平等である』というのと『自分の頭で考える』という教育のためではないかと筆者は思った。

 

そして、人間的に全く平等な状態で、上下関係があるとしたら、ギブアンドテイクのような、貸し借りのある関係性になっていないとダメだというように、若者が『自分の頭で考えた』から、敬語を話さない若者が増えた。