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この本の触りを読みたい方は、ぜひ、私のダイヤモンド・オンラインでの連載をお読み下さい。こんにちは。文章と会話の専門家、放送作家の渡辺龍太(@wr_ryota)です。
時々、無料で仕事を依頼する人に対して、マナーが無いと批判する記事がネットを賑わしています。
特にフリーランスの人が周りから無料で仕事を依頼する場合が多いらしく、個人で活動しているウェブ関連の人、デザイナー、コンサルタントなどがネットで怒っています。
しかし、芸能界という買い叩きの権化のようなフィールドで、放送作家をしている私は・・・!?
無料で仕事を依頼する人を非難するのは、明らかに間違いであり、恥ずかしい事であると思っています。
まずは、どういう形でクリエイターに対し、「無料で仕事の依頼される」という事件が起きているのか、ネットを見渡してみましょう。
大阪市の天王寺区役所が、
デザイナーに無料で仕事をオファー事件
大阪市天王寺区役所は、平成25年に 「天王寺区広報デザイナー」の募集をしました。
内容は、ホームページ、ポスター、チラシのデザイン、そしてコンサルタント的な業務を区に対して無償で行うという内容です。
これに対して、「デザイナーをバカにしている!」という声が、ネットを中心に騒がれました。
そして、ネットの署名が行われ、5000人もの賛同者を集めました。
https://www.change.org/p/天王寺区広報デザイナー-無償の募集について-デザイン料の無償を撤回
ちょっと、今回も爆弾を落とすようですが、私としては、
こういう署名こそ、フリーランスで働くクリエイターを甘やかしているような気がするんです。
無料での仕事依頼も「需要と供給」で当たり前①
「大企業にも無料の仕事依頼は来ている」
まず、そう考える一番大きな理由が、無料だろうと有償の仕事依頼だろうと、仕事の依頼を受ける側は「断る」という選択肢を100%持っているからです。
その「断る」という行動が面倒くさいと感じるのなら、ちょっと怠慢だと思います。
世界中、個人に限らず、大企業も取引企業からの値引き要請や、イベントへの寄付のお願いや、商品の無償提供の依頼やらを日常的に受けています。
そして、大企業は、そういう様々なオファーを分類して、賛同出来ない依頼は、断って商売しているはずです。
ですが、「僕ら個人クリエイターは立場が弱いから、僕らにお金を落とすような依頼しかしないようにしてほしい!」なんて、虫が良すぎます。
断るのも仕事のうちなので、商売に付き物の「断る」という仕事をきちっとしましょう!
それが嫌なんていう怠慢な考え方では、一時は、フリーランスで生き延びられたとしても、長続きしないんじゃないでしょうか。
無料での仕事依頼も「需要と供給」で当たり前②
「値段を付けて物を売るのが仕事」
そもそも、物を売るという事で一番大切な事は何でしょうか?
自分で値段を付けて、それで売るという事です。
一昔前に、こんな本が流行りました。
この本のタイトルが語るように、喫茶店でコーラを100円で売る店があれば、1000円で売る店もあるわけです。
なぜ、同じ物なのに、そこまでの値段の違いが出るのかといえば、会社や営業マンの実力の差なワケです。
そういう世の中的な値段の価値の相場って、結構、世の中の人は、シビアに見ていると思います。
例えば、誰もリッツカールトンの喫茶店に行って、「コーラは安いので、一杯100円で出してくれますか?」って聞かないと思います。
あるいは、ハリウッドの大スターのジョニー・デップさんに「文化祭で演劇やるんで、無料で出演してください!」とか、オファーしないと思います。
厳しいですが、誰かに無料で仕事を依頼されている人は、世間から「この人なら無料で依頼してもいいだろう」と思われているのです。
そして、その現状を作っているのは、無料で仕事をオファーされる人自身の、ビジネスの結果だと思います。
それにもかかわらず、「無料で仕事を依頼してきた人がいた!」と大騒ぎする人は、自分の商売が上手く行って無いよって、周りにアピールしているだけじゃありませんか?
私は、そういう態度って、ビジネスマン的に、とっても恥ずかしい自滅的な行動だと思います。
無料での仕事依頼も「需要と供給」で当たり前③
「サラリーマンのサービス残業だって無料の仕事依頼」
では、どうしてクリエイターと名乗る人が、「クリエイターに無料で仕事を依頼するな!」と甘えた大騒ぎするのかというと・・・!?
そういう人は、まだサラリーマン的な視点が、完全には抜けていないのでは無いかと、私は思います。
例えば、日本のサラリーマンの多くは、「サービス残業」という形で、頻繁に無料で仕事を依頼されています。
多くのサラリーマン的な発想で、サービス残業問題を解決を考えると、「会社が悪い→手当を払って!」とか「こんな会社やめて良い会社を見つけてやる!」という思考プロセスに成ると思います。
しかし、現実問題として、それを本当にしたければ、会社相手に裁判をするなり、良い会社が見つかるまで転職を繰り返すなり、大掛かりなコストやエネルギーをかける必要があります。
だから、多くのサラリーマンは「サービス残業で苦しむ自分は正しい!被害者だ!」と言いながら・・・!?
現状を変える行動を全く起こさずに、現状の結果を、他人の責任にして働き続けているだけなのです。
「クリエイターに無料で仕事を依頼するな!」と言っているクリエイターも、真理は全く同じだと思います。
「無料での仕事依頼を断る!」とか「自分の価値を高める」という本質的な問題に手をつけずに・・・!?
「自分は正しい!被害者だ!」と言いながら、自分が解決への行動をしない事を正当化して働き続けているだけです。
こうやって見ていくと、「無料の仕事依頼って常識が無い!」って騒いでいるのって、相当恥ずかしい事だって思いませんか?
ズバっと言わせてもらうと、サラリーマン的な気分が抜けきれず、実力や覚悟の無い人の怠慢です。
無料での仕事依頼も「需要と供給」で当たり前④
「無料依頼しか来ないなら、価値ある仕事すれば良い」
さて、ここまで読んでくださった方は、私の結論には薄々感づいているかもしれませんね。
結論としては、無料の仕事依頼に腹が立っている人は、他人ではなく自分に責任があると考え、価値のある仕事をして、自分のブランド価値を上げるしかないのです。
繰り返しになりますが、そもそも無料で仕事をオファーされる人というのは、世間から「その程度の価値の仕事をしている人だろう」と思われているのです。
だから、それが嫌なら、世間が自分に対して思っている、「安い人」という負のブランドイメージを変えるという方法しかありません!
具体的に、どういう事をすればよいのかというと、もちろん、ブランドイメージを変えたい大手企業と一緒です。
例えば、トヨタ自動車は「品質の良さ」を貫いて、戦後間も無い頃の、アジアの安物のイメージを払拭して大企業になりました。
他にも、ここ20年ぐらいの安売りで、安物というイメージが定着してしまったマクドナルドは、「内装をオシャレにして単価の高い商品を販売」して上手く行き始めています。
それは、個人の場合も同じです。
例えば、身だしなみを整えて、仕事の単価が高そうな相手に見せるとか、
あるいは、仕事の実績を、きっちりとしたデザインのホームページにまとめるとか、
とにかく、仕事のクオリティを上げて、口コミを狙うとか、そういう地道な努力しかないはずです。
だから、「無料で仕事をオファーしてくる人はモラルが無い」と、言った所で何の解決にもならない愚痴を言うのは、もうやめましょう。
そして、具体的な自己投資を工夫する事で、「無料で仕事を頼んでも良いと世間から思われる人」から抜け出すようにしましょう。
このブログをきっかけに、愚痴を卒業して、自己投資に精を出してくれる人が一人でも増えたらと思っています。
まとめ
「クリエイターに無料で仕事をオファーするのはけしからん!」という論調がネットにある。
しかし、私は、それは間違いだと思う。
なぜなら、個人のクリエイターに限らず、ありとあらゆる商売に関わる人が、無料の仕事依頼を受けていて、同時に「断る」という仕事をしている。
そして、もし買い叩かれて「断る」という選択肢が使え無い人がいたとしたら、仕事の価値を高められてい無い自分のビジネスに問題があるはずだ。
だから、無料で仕事を依頼してくる他人に対しての愚痴はすぐにやめて、自己投資をして自分の価値を高める事で無料での仕事依頼を「断る」べきである。